ISUCON6 オンライン予選の参加登録を開始&参加チームとメンバーリストにてお知らせしていますが、オンライン予選を9月17日(土),18日(日)に開催いたします。今回は本選の学生枠が増えたということもあり、サーバー提供でご支援いただくMicrosoft@myfinderさん、出題をご担当いただくpixiv@edvakfさん、はてな@songmuさんに、ISUCONの魅力や出場するメリットやISUCON6の運営に関わることになったきっかけなどについて色々と聞いてみました。
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左からmyfinderさん、edvakfさん、songmuさん

まず最初に、ISUCONとはシンプルに「Webアプリケーションを早くする」というものです。趣味でプログラミングをしている人は多いですが「Webアプリを早くする」というのは、仕事でやらないとあまりやらないジャンルで、仕事じゃなくてやれるというか仕事じゃない状態でそれをやるのは珍しい。そんな技術コンテストです。優勝賞金が100万円、多くのエンジニアが参加するイベントとなっています。

念のためですが、ISUCON6はこのような日程です!
・ISUCON6 オンライン予選 9月17日(土)、18日(日)の二日間のいずれか
・ISUCON6 本選(渋谷ヒカリエ)10月22日(土)

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ISUCON6 オンライン予選の参加登録を開始&参加チームとメンバーリスト

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「ISUCONの楽しさや参加するメリット、得られる経験って何?」ISUCON5 出題チームインタビュー

――今日は宜しくお願いします!まず最初に、皆さんのISUCON参加経験を教えてください

myfinder ISUCON1から全て出場していて、4まで本選出場して5は予選敗退でした。参加し続けて早5年です。007


edvakf 私はISUCON3から5まで参加して全て本選出場です。順位ではISUCON4で2位でした。最後の最後に逆転されて悔しかったですね。
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songmu わたしは全て参加と出題をしていて、ISUCON1と2と5で優勝、3は一応出題側でした。一応というのは出題チームにはいたんですが、ほとんど何もしなかったという。
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――ありがとうございます、ISUCON6で出題するに至った経緯を教えていただけますか?
kushii これはISUCON1から5までメインの運営をしている私から説明させてもらいますね。突然出てきましたがLINEの櫛井です。宜しくお願いします。ISUCONの出題というのはとても大変でいつもどうするか頭を悩ませているのですが、6の出題については5の本選後の懇親会で「次の出題は誰にやってもらいたいですか?」と参加者に聞いてまわって、上位だったのがpixivさん、はてなさん、Klabさん、Gunosyさんなどでした。その場ですぐに「こんな声が沢山あるので出題どうですか」とまずはお声がけしたという流れです。

皆さんそれぞれ事情もおありなんですが、pixivさんとはてなさんは基本OKしてもらえそうだったのでどちらかにお願いできればと考えていて、そのあと開催された違うイベントで「出題側は負荷も大きいと思うので、予選と本選をそれぞれ担当する2社による出題というのはどうでしょうか」と提案してOKをいただきました。
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Microsoftさんのウェイティングスペースに置いてあったタブレットで広報活動にいそしむkushii氏


――なるほど、実際に出題をする側となった2社としては打診された時いかがでしたか?
songmu これはもう断れないなと思いました。今までにISUCONからは経験も優勝賞金も、色々なものをもらっているので、ちゃんと返す側に行かないといけないなという気持ちがあったんですね。でも出題が大変なのはよくわかっていたので断りたい気持ちもあって、やりたくないなという思いもありましたが、奥さんに「返す側に行ったほうがいいんじゃないの」と言われたのもあって、はてなのメンバーも協力してくれそうなのでお受けしました。

edvakf 私もISUCONで色んな経験をさせてもらっているし、何よりも無くなったら困るイベントなのでお受けすることにしました。他のみんなが出題側をやりたくない気持ちも理解できますが、話を持ってきてもらってせっかくなのでやってみようと思いました。

myfinder 私はサーバ提供という面でお手伝いしていますが、今までの流れで予選はパブリッククラウドでやりたいというのがあって、Amazon Web Services、Google Cloud Platformときていて「次はAzureでやりませんか?」という話があり、さらに本選は今までだとテコラスさんがサーバ提供などされていましたが「今年は本選も引き続き予選と同じようにカバーしてもらえませんか」と櫛井さんから打診され、Microsoftとして提供可能なものを活用して協力させていただこうということにしました。

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――今年はどんな体制で出題チームが結成されたんでしょうか?
songmu はてなとpixivさんの2社で予選と本選をそれぞれ作ってそれぞれ回答しあうという方針は最初からあったんですが、ISUCON5の予選問題作成がかなり大変そうだったので余裕を持ったスケジュールにしようというのは当初から話していました。はてなでは私と、最近CTOに就任した@motemenの2名で予選問題のアプリケーションとベンチマーカーを作成しています。あとは、サーバサイド@tatsuruが担当していて、言語実装を含めるとあと数名が関わっています。

edvakf pixivでは社内のISUCON常連メンバーを集めて私を含め4人で担当しています。他にも過去にISUCONに参加したことがある人は社内にいるんですが、参加予定なので極秘プロジェクトとして目につかないところで作業するようにしています。


――皆さん、ISUCONで得たものが沢山あるとおっしゃっていましたがどんなメリットがあるのでしょうか?
myfinder ISUCON1の頃にやっていた仕事はずっとサーバをいじるのがメインだったので、コードを書くということが当時あまり無かったんですね。ISUCONに出てからは、コードを読み込むことを意識するようになったので自分のテクニカルな幅が広がったなと思います。ISUCONは自分が得意なところだけではスコアが伸びないので、足りないところが明確にわかります。
参加することのメリットは沢山ありますが、簡単に言うとメリットしかないと思います。デメリットがない。新しい気付きを得ることにもなるし、他の出場者が優秀だし、同じ問題を解いてその回答方法のプロセスを共有出来るので横の繋がりも増える。端的に言うと最高のイベントです。

edvakf 私はISUCON3が最初に参加した回なのですが、誘ってくれた人が「このイベントは楽しすぎて毎年出たい」と言っていたことに興味を持って一緒に出るようになりました。やってみたらまさにその通りで、やってみるまでは何がそんなに楽しいのか言ってる理由もよくわからなかったんですが、もう楽しさしかない。
1日頭を悩ませてそれぞれのゴールにたどり着く、同じ条件で勝ち負けを競うのが楽しいんです。はじめての人は参加するまでの私と同じように「なにがそんなに楽しいのか」と参加することに疑問を持っているかもしれないですが、一回出たら忘れられないイベントになると思いますよ。

songmu 出て損はないということをハッキリお伝えしておきます。これだけのイベントに無料で出られるのはお得だし、色んな人と交流できる。こうやって同じ問題を解きあうという機会って世の中にないんですよね。同じ問題を同じように解いたからこそですが、他の人の回答を見ると「こういう解き方があるのか」とか「あの技術はここに使えるのか」と気付くことが沢山あります。
終わったあとの感想戦が楽しくて、本選の懇親会では「あそこがどうだった」という話がもうずーっと出来る。

実際に自分の技術の幅が広がったなと思うこともあって、ISUCON2では同じチームでやっていた@typesterが「Redisつかいたい」と言って実装して勝ったというのがあって。タイミング的にまだあまり使われていなかったけど、その後みんなRedisを使い始めて、いいきっかけだったんじゃないかなと。

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やる気みなぎる出題陣営

――どんな技術を使うかというのも大事ですが、参考実装言語についても毎年色々と議論があります。ISUCON参加にあたり、言語による差はあるんでしょうか?
songmu バラバラだとつらいので、前提条件としてはチームメンバー3人が同じように使える言語じゃないと上位に入るのは難しいだろうと思います。とはいえ、優勝言語は過去大会すべてPerlなんですが、使い慣れているんでしょうね。

――これも毎年話題になるのですが、ISUCONは三人までのチームを組むのが条件ですが一人または二人で勝てるものでしょうか
songmu ISUCONが二人以上での参加を必須にしているのは一人では勝てないからですが、三人が様々な技術を全て使いきって全力で戦う場所なので、優勝するのはほぼ間違いなく無理だと思います。過去に山形組という二人チームが準優勝したことがありましたが、彼らはすごいです。ただ優勝となると難しいと思います。


――ではどういう三人構成だと強いと思いますか?
一同
うーん、tagomoris、fujiwara、sugyanというのがドリームチームだと思いますね。まずインフラも見れて全体的に俯瞰で理解できていて指示を出す人、コードを書くのが滅茶苦茶早いアプリケーションエンジニア、細かくフォロー出来る人。

songmu 今までだと、一人は抜本的な書き換えとか時間のかかることをサイドでずっとやっていて途中で加速するというリスキーな仕事をするというのも効果がありましたよね。さっき話しに出ていたRedisとかはまさにそれで。あのとき僕の書いたコードはほとんど消えた(笑)。まぁでもそういう競技なんでいいんですけどね… あれでRedisの威力を思い知りました。

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――今回は本選出場できる学生枠で例年の倍にあたる10枠になりました。学生がISUCONに参加することのメリットというのはどういったところにあると思いますか?
edvakf 自分自身、毎年ISUCONに参加する前に過去問をやるんですが、やるたびにとてもためになるんですね。出題側からの解答例もありますし優勝チームの解説なんかも公式ブログでまとまっているので、問題をやってみたあとに感想ブログを読み漁って「こういうことをやるべきだったのか」とまた思い知らされて、自分に足りないことを俯瞰することが出来るんです。こういった体験は学生にとってもためになると思いますし、幅広い技術を使うことを余儀なくされるというのはなかなか出来ない経験だと思います。

myfinder 本や技術系のサイトなどを読んでいるだけではわからない、アプリケーションを運用していないとわからないことが短期間で理解出来るようになるというのが最大のメリットだと思います。ただ個人的にすごくいいなと思うのは、普段大規模な運用を直接やっている人たちと競争して、そのあと交流まで出来るというのは得難い体験だと思います。錚々たる面子が集まってくるので、これはもうお得ですよね。ミスっても誰も困らないし、何度バットを振ってもいい、そんな大会なので学生の方は是非参加するといいと思います。

songmu ハイトラフィックを運用することは学生でも大人になってもなかなか出来ることではありません。そういう環境に身を置けるのはレアです。そういう人たちと交流できて感覚を身につけると言う意味で、ISUCONに出てみるというのはいい経験になるだろうなと思います。自分で学生時代にサイトを作ったりしても1日に10アクセスとかその程度というのはよくある事なので、実際に多くのユーザーが集まるサービスでどのようにすればいいかというのはイメージしにくいと思います。仮想的にそういった環境が用意されて、集中して解決への答えを導き出す経験が出来るのでISUCONは最高ですよ。

――学生といっても色々な方がいますが、どんな方が向いていると思いますか?
myfinder Webサービスに関わりたいと思っている人すべてが対象だと思います。ソフトウェアを研究しているというよりは、Web業界に興味がある人。学部学科より興味関心が大事です。だって参加しても何も失いものがないですよ。予選の日にどうしても外せない用事がないなら是非参加しましょう。


――出題内容について、今日は予選問題を解くという会でしたがいかがでしたか?また、本選についても教えてください。ネタバレにならない程度に雰囲気を教えてください
edvakf はい。まさに予選問題を解いてみたばかりですが去年は「これぞISUCONという問題になるよう意識した」という話がありましたよね。今年もそういう問題に仕上がってると思います。

songmu これからさらに調整はしますが。はい。

edvakf 本選の問題は、ISUCONは出題側からしても遊べる場なので色々と遊んでます。


――出題のプレッシャーはありますか?
songmu ありますねぇ… 寝ても覚めても… ほんとに…

edvakf うぅぅ… というかんじですね。

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予選問題を解き終えた出題陣営

――最後に今年の意気込みをお願いします
myfinder パブリッククラウドの提供側にまわったので最大限フォローさせてもらいます。うまく運営できればいいですね。今回Free Trial以外にVisual Studio Dev Essentialsというプログラムを紹介していまして、これは12か月間毎月$25のAzure利用権が付与されるものなので、ISUCONが終わった後の復習もこれで出来ます。是非継続的に使ってほしいと思っています。今回は運営側にまわったので参加は出来ませんが、問題を解くことはできるので協力しながら出題の裏側を見ることが出来るので楽しみです。
※注 Visual Studio Dev Essentialsについてはこちらもどうぞ
 →Microsoft Azureの1か月間無料サブスクリプション以外に利用可能なプログラムをご紹介します

edvakf 本選の出題を担当しますが、出題側って大変なんだろうなとずっと思っていて、社内ISUCONをやってみたら出題側の楽しみが大きいということに気付いたんですね。なので今回は存分に楽しませてもらいます。こちらが意図したとおりにハマってくれたり、意図しなかったチームがスコアを伸ばしてきたりする驚きがあって、それを見ているとそれまで問題を作ってきた大変さを払拭してくれるほどの楽しさがあります。

songmu 予選の出題者として今日まさに解いてみてもらって、ずっとドキドキして見守っていたので出題の楽しみというのは今のところ無いですが(笑) きちんと今回のパターンで運営がうまくいって、今後もISUCONが続いていけるように出来たらいいなと思ってます。

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――ありがとうございました!
このインタビューは、Microsoftさんにて予選問題を解いて難易度調整をして予選問題をした日に開催されました。


というわけで、参加メンバーを集め是非ご応募ください!学生の皆さんは本選出場時は交通費補助があり、今年は学生枠の賞金も例年より多くなる予定です。まだエントリーしてないという方は是非お申し込みください。
ISUCON6 オンライン予選の参加登録を開始&参加チームとメンバーリスト


過去のISUCONの問題、参考解答例などそれぞれの回ごとにまとめていますのでこちらもあわせてどうぞ!
ISUCON1 まとめ
ISUCON2 まとめ
ISUCON3 まとめ
ISUCON4 まとめ
ISUCON5 まとめ